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馴染ませの実例

目次

  1. 概要
  2. 馴染ませの分類(おさらい)
  3. 例1(従属型)
  4. 例2(相互型)
  5. 中継型の細分化
  6. 例3(メインテーマ中継型)
  7. 例4(サブテーマ中継型)
  8. 例5(サブテーマ中継型)
  9. 例6(サブテーマ中継型+交互継ぎ足し法)
  10. 例7(メインテーマ中継型+二点結合)
  11. 補足:馴染ませに使用されるテクニック
  12. 補足:その他の例

概要

スプリットライムの馴染ませについて、各パターンごとの実例を紹介する。


馴染ませの分類(おさらい)

前回の記事「スプリットライムと馴染ませ」で整理したように、馴染ませには代表的な三つの手法がある。

それぞれの手法について以下に述べる。


例1(従属型)

椿の梢から千手観音でも腕をおれに差し伸べたようなレンブラントレイ
SIX

「千手観音でも」「レンブラントレイ」は意味の関連性が薄いスプリットライム。
この例では「レンブラントレイ」を修飾する(たとえる)道具として「千手観音でも」を使用し、意味を接続させている。

参考


例2(相互型)

頬張れ 産直12INCH
甘酢でグリッチした 油淋鶏
SIX

「12INCH」「油淋鶏」は意味の関連性が薄いスプリットライム。
この例では「頬張れ」「産直」といった言葉で「12INCH」を修飾し、「油淋鶏」側の文脈(=食べ物)に近付けている。
また同時に「グリッチ」という言葉で「油淋鶏」を修飾し、「12INCH」側の文脈(=音楽用語)に近付けている。
その結果、食べ物に擬態した「12INCH」と音楽用語に擬態した「油淋鶏」が意味上で接近する。

参考


中継型の細分化

中継型の馴染ませは、より細かくいえば次の二種類に分けられる。

  1. 韻が属する作品自体(楽曲など)のテーマを共通テーマとし、そこに向けて両フレーズを馴染ませる場合
  2. 共通テーマを新規に用意する場合

本稿では前者をメインテーマ中継型、後者をサブテーマ中継型と呼ぶ。


例3(メインテーマ中継型)

君はクレイジーなSuzi Quatro
飢えたハート揺さぶる寿司 具はトロ
SIX

「Suzi Quatro」「寿司 具はトロ」は意味の関連性が薄いスプリットライム。
この例では「君」の比喩として「Suzi Quatro」「寿司 具はトロ」を列挙することで並列の関係に接続している。
「君」について語ることは曲自体の主題と一致している。

参考


例4(サブテーマ中継型)

一目惚れ 金縛りかチャイルドシート
液晶より眩い太陽信仰
SIX

「チャイルドシート」「太陽信仰」は意味の関連性が薄いスプリットライム。
この例では“釘付け”という共通テーマに近付けることで両フレーズを接続している。

参考


例5(サブテーマ中継型)

…おっと 負の連鎖は強制停止
一度のライフ プラスへと引き寄せたいし
SIX

「強制停止」「引き寄せたいし」は意味の関連性が薄いスプリットライム。
この例では“ポジティブ/ネガティブ”という共通テーマに近付けることで両フレーズを接続している。

参考


例6(サブテーマ中継型+交互継ぎ足し法)

向かい風ばっかで膨れっ面後
今度は追い風も吹く レッツラゴー
SIX

「膨れっ面後」「吹く レッツラゴー」は意味の関連性が薄いスプリットライム。
この例では「向かい風」「追い風」という共通テーマに結合することで両フレーズを接続している。

見方によると、「吹く レッツラゴー」「吹く」に着地するよう「向かい風」「追い風」を配した従属型のようにも見える。
が、「ふく」の部分は「~往復 レッツラゴー」「~起伏 レッツラゴー」など他の可能性も考えられる中、このサブテーマに馴染むように継ぎ足しで決定されている。
よって、共通テーマの存在ありきの韻(サブテーマ中継型の馴染ませ)といえるだろう。

参考


例7(メインテーマ中継型+二点結合)

一小節飛ばしで横断歩道
ピアノロールにデコレート ウォータードロップの音符
SIX

「横断歩道」「ウォータードロップ」は意味の関連性が薄いスプリットライム。
この例では「小節」「ピアノロール」「音符」といった共通テーマに結合することで両フレーズを接続している。
「横断歩道」を五線譜、そこに散らばる「ウォータードロップ」(水滴)を音符に見立てて、“楽譜”という共通テーマを取り入れている。

ただし、この例では雨の日の情景として横断歩道と水滴を素直に接続することも可能。
スプリットライムの馴染ませ手法として中継型だけでなく、従属型が考えられる。
(「横断歩道に跳ねるウォータードロップ」のような形)

あえて共通テーマを追加することで、この韻は二点で結合された印象となり、意味の一致率をより高めている。

参考


補足:馴染ませに使用されるテクニック

ここまで述べてきたように、馴染ませに使用されるテクニックとしては“比喩法”がスタンダードである。
二つのフレーズの類似性を発見し、それを手掛かりとしてひとつの文章に繋げるのが王道的な馴染ませといえる。

他の手法としては“同音異義語によるダブルミーニング”“間接シンクロライムのブーケ”といった馴染ませ方がある。(今回は割愛する)


補足:その他の例

別記事「ナチュラルライムとシンクロライム」に掲載している「イーゼルにカンバス」「ディーゼル機関車」(従属型)、「オオサンショウウオ」「互換モード」(従属型)などの馴染ませ例も参照。


履歴

日付 内容
2017.10.10 新規作成
2018.12.19 公開用に清書

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その並列はスージー・クアトロに失礼でしょ...